
改善とは狭義では原価低減や工数低減、リードタイム短縮、品質向上など様々な意味があるが、広義では「より異常が顕在化する」「より改善が進む状態にする」そして「より変動に強い体質にする」ことである。
その為にも自身の変化にも世の中の変化にも敏感である必要がある。
変化に鈍感なカエルを例えた寓話に(図1)ゆでガエルの話がある。
カエルが入っている冷たい水を火にかけ、徐々に温度を上げ、その変化に気づかず逃げ出さないと、最後には熱湯となり茹で上がって死んでしまう。
これは「状況の変化がゆるやかだと、迫りくる危機になかなか気づけない」ことを表しているが、常に自分もこのカエルと同じになっていないかを自問自答することが大切です。
大きな時代の変化はピンチでもありチャンスでもある
かつて2億年もの栄華を誇った恐竜は、6500万年前に突如、絶滅しました。
真相はわかりませんが、有力なのは「小惑星衝突説」だそうです。
・小惑星が地球に激突し、その衝撃で大量の土砂を成層圏まで吹き上げた。
・そのため地球の気候が極端に寒冷化して、草食恐竜がエサとしていた植物が十分育たなくなった。
・草食恐竜が減り、それをエサとしていた肉食恐竜も生きていけなくなった。
・そもそも気候の寒冷化により”変温”動物である恐竜は活動できなくなった。
というものですが、
我々のご先祖様である、その頃は小さな小さな哺乳類は、
あまりエサがなくても生きていけるし、”恒温”動物なので気温が下がっても活動量が落ちることはなかったため生き延びることができたそうです。
極論、自ら体温を外気に合わせて変化させることのできる哺乳類が生き残り、外気の変化をもろに受け、変化できなかった恐竜たちは絶滅したということです。
つまり、環境に合わせて変化できた者が絶滅しなかったのです。
この6500万年前の氷河期は、私たちのご先祖様である小さな哺乳類にとっては大きなチャンスとなり、恐竜たちにとっては大ピンチとなり絶滅したんですね。
では2020年の現在はどんな変化が訪れているのでしょうか?
わかりやすい時代の変化を表す指標はお金の流量
2020年の現在、どんな変化が訪れているのか確認するための指標として、農水省のデータ(図2)飲食費のフローH27年を例にあげましょう。
これは図2左上「食用農林水産物の生産段階」では11兆2,740億円だったものが、右上「飲食料の最終消費段階」では83兆8,460億円まで膨らんで流れていくことを現しています。
これを基準とすると時代の変化がとても分かりやすいことがわかるので、主要な値を覚えて(気に留めるだけで十分です)から以下を読み進めてください。
図2の左から、生産工程(≒農家・漁師さんの販売段階)
・農(水)産物の国内生産 9兆6,770億円
・農(水)産物の輸入生産 1兆5,980億円
図2の真ん中、流通加工過程
・最終消費向け食用農林水産物 3兆1,600億(国産)+3,730億円(輸入)
図2の右、最終消費工程(≒消費者の財布)
・生鮮品等 14兆1,410億円
当たり前ですが、農家さんが生産されてから、様々な加工や流通過程を経て、生鮮という分野だけでも最終消費は約3兆円→約14兆円にまで膨らんでいることがわかります。
農業界の時代の変化はとっくに始まっていた
さきほど前段H27年のデータで「食用農林水産物の生産段階」では11兆2,740億円だったものが、「飲食料の最終消費段階」では83兆8,460億円まで膨らんでいることがわかりましたが、これをS55年からの推移で視たのが(表6)です。
この表6は上下に構成されていて、上段が実数(金額)で下段はその構成比で現されています。
ココから読み取れることは、
◆実数(金額(丸めてます))
・食の総市場 S55年 49兆円 → H27年 83兆円 成長率170%
・農産物生産 S55年 12兆円 → H27年 9兆円 成長率▲75%
・食品製造業 S55年 13兆円 → H27年 26兆円 成長率200%
・食品関連流通業 S55年 13兆円 → H27年 29兆円 成長率223%
・外食産業 S55年 8兆円 → H27年 16兆円 成長率200%
このように食の市場は変化しており、唯一衰退しているのが国内での農産物生産なのです。
同じように構成比も見てみましょう。
◆構成費(各年の総市場100%での内訳)
・食の総市場 S55年 49兆円=100% → H27年 83兆円=100%
・農産物生産 S55年 27.5% → H27年 13.4% ▲14.1%
・食品製造業 S55年 27.6% → H27年 33.2% +5.6%
・食品関連流通業 S55年 27.2% → H27年 35.2% +8.0%
・外食産業 S55年 17.8% → H27年 19.2% ++1.4%
この構成比、%ではなく仮に総市場をわかりやすく100円玉で表現してみましょう。すると、S55年は100円中、農家さんには27.5円還元されてたことがわかりますが、H27年では13.4円と約半分の収入になってしまっています。
少々乱暴かもしれませんが、これだけ世の中は変化しているのです。
しかもこの統計からとっくに農業界の時代の変化は訪れていたのです。
この大きな変化は、時間の経過に紛れてしまって緩やかな変化に感じられるかもしれません。
肌で感じているでしょうか?感じられていなかった人はまさにゆでガエルと同じかもしれません。
ゆでガエルには決してなってはいけません、その先は絶滅しかありません。
世の中の変化を放置せず、積極的に変化するためには
ではこれだけ変化する世の中、食の市場です、どうしたらゆでガエルにならずに済むでしょうか?
それはズバリトヨタ式で計画を立てることです。
図3はその計画をお風呂の水温計に見立て、計画の構成要素をわかりやすく示しました。
お風呂の湯加減39度がベストとして、これを計画の目標とします。
次に自分の今現在の市場での立ち位置がどこかにより方針が変わってきます。
40度以上の市場にいるなら温度を下げる方針が必要です。逆に低い市場なら上げる必要があります。
その方針を実行するための具体策が、薪をくべるのか?それとも水を差すのか?それを一体誰が担当するのか?そして大切なのが、いつまでにやるのか?です。
これら計画がしっかり組まれていれば、あとはそれをしっかり実行し、適時チェックし、リカバリーしていけば必ずや目標が達成することでしょうし、時代の変化を目標と現実とのギャップとして感じることができるはずです。
今回はお風呂の温度計に見立てましたが、農家に必要なのに多くの農家にない温度計。売上げの温度計、原価の温度計、お客様の温度計・・・ハウスや圃場に置く本当の温度計も必要ですが、トヨタ式の改善温度計を導入することを強くおススメします。

