「今年はあらゆる意味で挑戦する1年になる」
2020年の年頭にあたって愛知県豊田市の有限会社はっぴー農産黒野貴義社長が、トヨタ式農家改善.proのインタビューに応じ「若いスタッフたちの可能性に磨きをかけ、今年はあらゆる意味で挑戦する1年になる」と意欲を示した。
有限会社はっぴー農産(以下はっぴー)の地元周辺では、愛知環状鉄道の四郷駅周辺の再開発などを中心に街づくりが活性化するなか、黒野貴義社長(以下黒野氏)は「経営理念の3者はっぴーを改めて意識し、はっぴーとスタッフ、お客様、地域の3者と対話を重ね、皆さんとともに誇れる はっぴー にしていきたい」とし、更なる飛躍に向けて力を込めた。
(聞き手 山謙@トヨタ式農家.pro 2020/1/10(Fri) )
山謙)新年あけましておめでとうございます。早速ですが、2020年はわたくしこと山謙@トヨタ式農家改善.proとも仕事をご一緒させていただきますので、引き続きどうぞよろしくお願いします<m(__)m>
黒野氏)こちらこそ本年もどうぞよろしくお願いします<m(__)m >
山謙さんにコンサルを依頼するのは、何よりも絶対的な信頼があるからです。
これは以前トヨタ自動車に山謙さんが勤めてらっしゃるときに、我々はっぴーの直売所の改善に取り組んでいただき、売り上げが正にV字回復してから以来ずっと変わりません。
いまでもハッキリ覚えているのは、直売所の売り上げ改善で、お客様(情報)の4Sに取り組み、様々な指標をKPIとして見える化したことです。これでガラッと変わりました。
いままでもトヨタさんと様々な改善に取り組んではいましたが、どれもトヨタさんがいなくなってからしばらくすると後退してしまい、改善が根付くことは難しいと痛感しました。
山謙さんの改善は、成果がすぐに出る、しくみとして農家の運用の中に落とし込みされているので自分たちだけで続けられるのが特徴だと思います。
成長できる、改善をしくみとして導入できるなど、はっぴーだけではできないことが、いずれ自律的に自分たちだけでもできるようになっていけることが、トヨタ式改善の最大の魅力です。
また山謙さんははっぴーに来ると、必ずスタッフとのコミュニケーションを心がけてらっしゃるようで、はっぴーの内情にも詳しいことから全幅の信頼を寄せられる頼もしいコンサルタントです。
コンサルタントと農家の間に絆がある
山謙)ありがとうございます。
わたしもはっぴーに全幅の信頼を置いています。
社長はもちろん、どのスタッフも前向きに改善に取り組んでいただき、どんどん景色がいい方向へ変わる農家、打てば響く農家という印象があります。
やはりお互い信じあい、愚直に成果が出るまで改善を続けられるのがよいのです。
失敗しても続ければ必ず成果が出るということが分かっていれば、目先に多少苦しいことはあってもゴールするときにはラクができる。それをわかってくれている一種の絆のようなものを、わたしは相互に感じているんじゃないかと思っています。
ではインタビューということですので、まずは昨年を振り返っていかがだったでしょうか?
昨年を振り返っていかがだったでしょうか?/天候に泣かされました(-_-;)
黒野氏)そうですね、やはり絆が信頼の根幹かもしれませんね。
さて昨年の振り返りですか…昨年は本当に天候に泣かされた1年でしたね(-_-;)
桃は今までで一番出来が悪かった不名誉な年になってしまいました。
米も「大地の風」の圃場周辺でカメムシが大量発生し大打撃を受けました。
今年も暖冬なのでカメムシが越冬し、また大量発生するんじゃないかと不安ですね。
コシヒカリは最近の温暖化の影響か、今年もシラタ傾向にありました。
山謙)それは大変でしたね、しかし米に関してはそのようなアクシデントがあったにしても、総収量としては「にこまる」などの他の品種でうまくリカバリーできていますね、さすがです。
そういったリカバリーができる農家になるには何が必要でしょうか?
農家に必要なスキル、メンタリティー
黒野氏)はい、何とかうまくリカバリーできたかと思います。
そういったリカバリーは経験があるのとないのとでは違うでしょうが、大切なことはその年々の一期一会の農作物を育てるうえで「観察力」が一番だと思っています。
確かに農業をやるためにはあった方がよいスキルや資格はたくさんあるでしょう。
極論はクルマの運転免許やトラクターなどの大特だけでもいいかもしれません。
しかし最も大切なのはスキルよりもメンタリティーとしての観察力だと私は思います。
ただその観察力の源も「この葉色はどうして薄いんだろう?」のような、疑問がなければ生まれません。
これはトヨタの5Why、5回のなぜ?に通じるものがあると思っています。
やはりあらためて農家に必要なのは観察力、疑問に思うこと、好奇心ですね。
また「好きこそものの上手なれ」という言葉も同様に農業で必要なメンタリティーを現していると思います。
好きこそものの上手なれ/もとは千利休の言葉
山謙)観察力、疑問に思うこと、好奇心、そして好きこそものの上手なれ…たしかにこれらのことは農業に限らず、そのほかのどんな仕事でもスポーツでもなんでもそうかもしれませんね。
その「好きこそものの上手なれ」という言葉ですが、元々は千利休の言葉ですね。
利休は安土桃山時代の茶人ですが、その茶道の戒めの一つとして「器用さと,稽古と,好きの,そのうちで、好きこそものの上手なりけれ」という言葉からきたというものです。
道を究めていくには「器用さ」と「稽古(練習)」「興味(好き)を持っていること」の三つが必要であると述べ、その中でも一番大事なものが「好きであること」だと言っているのです。
まさに農業でも工業でも、道を究めるには「好きこそものの上手なれ」とは真理かもしれませんね。
今年の抱負をお伺いします/挑戦とは自分と闘うこと
山謙)では2020年頭インタビューの最後にあたり、今年の抱負をお願いします。
黒野氏)はい、さきほどの振り返りではお話しませんでしたが、はっぴーの課題として更なる売り上げの向上と働き方改革、この二つも挙げられます。
まず売り上げに関してここ最近は頭打ち傾向ですので、山謙さんとともに新しいマーケティングなどに取り組み、売上母体となる顧客数を一人でも多く作る活動をしたいと思います。
また働き方改革の方は、実は必要に迫られているという現実があります。
いままで農作業の中核を担ってきたスタッフ2名が都合により退職します。
わたしやはっぴーにとって痛いことではあるのですが、それと同時に子を巣立たせているようで、親としての満足感があることも事実です。
残ったスタッフで昨年同様の品質と収量が求められるということは、ますます農作物の作り方も工業のトヨタ同様にシステマティックに取り組む必要があると感じています。
トヨタ式の改善や人材育成を最大限生かして、このピンチをチャンスに変えたいと思っています。
ですから今年の抱負としてまとめると「若いスタッフたちの可能性に磨きをかけ、今年はあらゆる意味で挑戦する1年になる」といったところでしょうか。
わたしの座右の銘のような言葉として、
・挑戦とは自分と闘うこと
・勇気とは自分を信じること
やはり逃げちゃダメなんですよね、そしてスタッフ、山謙さん、そして自分を信じて、経営理念の3者はっぴーを改めて意識し、はっぴーとスタッフ、お客様、地域の3者と対話を重ね、皆さんとともに誇れる はっぴー にしていきたいと思います。
山謙)はい、ありがとうございました。
あらためまして、今年もまた1年よろしくお願いします、いい年にしましょう!
【プロフィール】はっぴー黒野氏
黒野貴義 くろのたかよし
昭和54年(1979)12月生まれ。
愛知県豊田市出身。東京農業大学を卒業後、(株)ぶった農産で1年間の農業修行ののち、はっぴーを父親より継承。
子供の頃は米しか食卓に上がらなかったことから「パン屋になる」のが夢だったが、両親の楽しそうに農業へ取り組む背中を見て地元農業高校へ進学。 農業を継ぐ事に抵抗は無く、幼いころから桃のシーズンの手伝いで、お金を払って桃を買っていくお客様の方から「ありがとう」と言われる事に魅力を感じ、家業である農業を継ぐ事はとても自然なことであった。
現在は長男、次男、長女の3児に恵まれ、公私ともにパワフルに過ごす40歳。
【法人概要】はっぴー
有限会社はっぴー農産
URL: http://www.happy-farm.jp/
FB: https://www.facebook.com/happyfarm1998/
Blog: http://happynousan.boo-log.com/
設立:平成10年(1998)3月
資本金:500万円
スタッフ:生産部6名 販売部4名
経営面積:米65Ha 麦12Ha 桃・トウモロコシ各1Ha
農作物:米、麦、桃、トウモロコシの栽培
栽培特徴(米):農薬不使用または少農薬栽培
米、桃、トウモロコシの直売
農作業請負(田植え、稲刈り)
ライスセンター業務

