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【Whyトヨタ式】トヨタ式でどのように農業の改善をするのか?/ トヨタ式改善2つの切り口「大部屋化・内製化」【後編】

限りなく内製化へのチャレンジ

限りなく内製化へのチャレンジ

この後編ではトヨタ式改善2つの切り口の二つ目である『内製化』について語りたい。
前編では「 世界で根付くトヨタ生産方式」「日本人の食料は誰が作っているのか?」「日本以外の先進国食糧事情は?」の3つについて書かせてもらった。
中編では「米農家の経営面積規模の差による赤字黒字」「 国内農作物生産額とその消費額の差からわかる、中間で吸い取られて何の利益も農家にリターンされないこと 」の2点から大部屋化について書かせてもらった。

前中編を要約すると、日本の食料自給率を上げるためというよりも、日本の農家がまっとうな利益を得て持続的に発展することが本当の国(や民)のためになることで、農家の生産性を向上させるために大部屋化(≒作付け面積の規模拡大)に取り組む必要があり「今の農家はもう農作物を作るだけでなく、作ったものを加工して、流通して、販売までするという経営面積の拡大だけでなく、事業規模の拡大も必要だということと、それを自らが積極的に変えてやっていかなければならない 」ということだ。
この後編はその核心『どうやったら”ある一つの農家の”生産性を向上させられるか?』ということで 、中編の大部屋化に続き二つ目「トヨタ式の改善2つの切り口で、日本の農業は変えられる!”内製化”」 について書いていく。
農家さんがもっと楽して儲けるためのトヨタ式改善の一つの手段だ。

トヨタ式の改善2つの切り口で、日本の農業は変えられる! ”内製化”

内製化の反対語は「外注化」だが、その内製化とはこれから農家が楽して儲けて、そして生き残って持続的に発展するためには絶対に必要なことである。
いま外注で行っていることをできるだけ内製化することで、コストを下げるのはもちろんだが、こと農家の場合は中編でも説明した大部屋化の一環として、作付け面積の拡大という規模の拡大・大部屋化をしていくとともに、事業規模も農作物を作るだけの農家から、加工・流通・販売といった方面へも拡大させる、儲けるための大部屋化が必要だ。
その儲けるための大部屋化である事業規模の拡大を、いつまでも外注に頼っていては儲け幅を思ったようには上げられない
これからの農家は、農作物を作るだけでなく、加工・流通・販売もできるだけDo it yourselfの精神で事業を少しでも拡大することを心がけたい。
ちなみにD.I.Y.とは「第二次大戦後のロンドンで、廃墟に立った英国元軍人たちが「Do it yourself(何でも自分でやろう)」をスローガンに、町の再建に取り組んだのが始まり」とされるているそうだ。

■内製化とは外注で行わず、自分たちでこなしていくこと
■内製化にはコストを下げる内製化と、事業規模を拡大していく内製化がある
 ◆コスト低減の内製化事例
  ・製造原価の低減
   農機具の修繕費の内製化 堆肥など肥料の自作
   作業委託している作業の取り込み 種や苗の自作 など
  ・販管費の低減
   税理士や会計士に依頼している経理業務の内製化
   広告宣伝物の自作や自身での媒体提供
   電気や水道の自然エネルギー化 など
 ◆事業規模拡大の内製化
  生産している農作物の加工
  生産している農作物の流通
  生産している農作物の販売   
ここではコストを下げるための内製化ではなく、農家の事業規模を拡大するための内製化について、米農家を例に書いていく。

事業規模拡大の内製化/生産している農作物の加工

米農家が生産しているものは何か?
当たり前だが「お米」である。
しかし必ずしも農家が生産して収穫した直後の状態で消費者が購入して口にするとは限らないどころか、むしろそのまま口にすることは珍しい
お米の場合、生米を食べる人は珍しいどころか皆無であろう。
普通お米の場合は「収穫→乾燥・調整→玄米→精米→(炊飯して)ごはん」となるのが一般的だが、米の種類によってはさらにお餅にしたり、せんべいなどの菓子にしたり、お酒にしたり、はたまた飼料にしたりさまざまである。
主食米としては、さらに炊飯済みのパック詰め加工されたごはんもあるし、おにぎりや炊き込みご飯、チャーハンや弁当化など調理という加工を経ると無限大に広がるといっても過言ではない。
言い忘れたが「無洗米」という加工もある。
また米粒自体が収穫品ではあるが、籾(もみ)や糠(ぬか)、くず米などの副産物も同時に作られている
このようにお米という農産物ひとつとっても、生産者である農家が「生産」という事業に加えてどこまでを内製化しているかによって、大きく利幅は変わってくる。
中編でも説明している通り、日本国内の総食物市場の規模は80兆円規模だが、うち生産者の規模は10兆円くらいで、残り中間の70兆円が生産者から見て外注化されているということだ
極論6次化とは、1次産品の生産者が中間工程である2次流通加工、3次販売を取り込むことにより、直接消費者の口に届けられるようにして生産者を強くして、若干論理は飛躍するが、日本という国を強くしようということだ。

ちょっと強硬論に聞こえるかもしれないが、この80兆円規模の国内総食物市場の図式をわかりやすくデフォルメしてみよう。
総食物市場の規模80兆円=1次産品生産額10兆円+2・3次手間賃70兆円
…これをわかりやすく日本人の毎月の食費を8,000円にデフォルメすると…
日本人が食べモノに払う額 8,000円=
  うち農家に支払われる1,000円 + 加工流通販売業者に支払われる7,000円
もっと乱暴に言うと、全ての日本の食べ物の価格は、1/8が生産者(農業水産業畜産業林業の直接生産者)の取り分で、残りの7/8は生産者以外の取り分だ。
この論法から行くと、お昼に800円のランチを食べると、100円は生産者へ、700円はそのレストラン(やレストランの仕入先)の取り分ということだ。
そして賢明な読者であれば、その利益率のことも考えるであろう。
生産者の100円の売り上げに占めるコスト・利益はいくばくか?
ではレストランは800円の売上から100円分は生産者へ廻るはずだが、残りの700円の配分はどのようになっているか?
中編でも説明しているが、米農家の場合、作付け面積によっては米を作っても赤字である。
しかしレストランでランチを作って赤字というのは基本的に商いとして当たり前ではないし、むしろおおよそ少なくても700円の半分350円は粗利として確保しているであろう。

さてこの段では加工に焦点を当てなければならない。
ひきつづき800円のランチで考えよう。
うち100円が農家など生産者の売上、残り700円はレストランの取り分になるが、この700円が”流通費””加工費””販売費”に分かれていくわけである。
レストランでいう加工とはズバリ調理だ。
またレストランが加工(=調理)する前の農生産物の状態は、絶対に収穫直後の状態ではない。
途中の流通業者や加工業者、仲介卸業者などが何らかの加工を必ずしている。それは例えば”洗浄”であったり、”選別調整”であったり、”箱詰め袋詰めパック詰め”などである。
つまりレストランは粗利50%を除いた350円でランチの仕入れをし、その仕入れたものの”荷姿”の状態になることこそがほぼ加工費だ。

■生産している農作物の”加工費”=内製化したい加工費
 ・洗浄 ・選別調整 ・箱詰め ・袋詰め ・パック詰め
 ・カット ・乾燥 ・粉砕 ・ブレンド ・冷凍 
 ・食物化 ・飲み物化 など

事業規模拡大の内製化/生産している農作物の流通・販売

前段までの説明でもうおわかりだろうが、生産している農作物の流通と販売に関しても、先ほどのランチのレストランで説明しよう。
さきほどのランチレストランは50%の粗利で350円の仕入れということだが、その仕入れ時の荷姿になっていること自体が”加工費”だった。
だからその仕入れルートに乗って”常温・冷蔵・冷凍”されて”昼間・夜間”、”クルマ・鉄道・船舶・航空”などの流通業者の手を経て途中保管などもされながら運ばれる費用が流通費である。
販売費はおのずとそれら諸々の業者を経る際に都度かかる売り上げ、仕入れの繰り返しが販売費で、最終的にはレストランの販管費や利益も乗っかって800円となり、消費者の口の中に入るというわけだ。

■生産している農作物の”流通費”=内製化したい流通費
 ・保管(常温、冷蔵、冷凍) 
 ・輸送手段(陸送、船舶、航空) 
 ・手続き(検査、関税)など

■ 生産している農作物の”販売費” =内製化したい販売費
 ・営業や販売のための人件費や諸々の経費*1
 ・広告宣伝費 ・交際費 など
*1会計上 は販売費および一般管理費 としてくくられる範囲の経費

どこまで内製化するか?

ここまで生産している作物の加工・流通・販売の概要を理解していただいたと思うが、これをどこまで内製化するかだ。
金額でいえば、800円のランチの原材料100円は生産して取り分としているが、残り700円の加工・流通・販売のいくらまで内製化して取りに行くかということだ。
もちろんレストランまで開業すれば800円まるまる取りに行くことになるが、レストランを立てる投資や経営していくノウハウやランニングも必要になる。
ココが 生産者である農家もわかっている『6次化の敷居の高さ』だ。
1次化はできているいま、正確にはもうおわかりだろうが米農家という生産者でも、おおかたの米農家が籾を収穫するだけでなく、乾燥調製などを経て玄米として袋詰め加工をし、また多くの米農家が精米までして白米化して個別に5Kgや10Kgの包装という加工までして、主に近隣住民に販売まで、実は6次化していることだろう。
つまりほぼすべての生産者が、規模は違えど6次化しているのが事実で、その規模を確保するために外注化しているだけだ。
その極端な例かつ一般的な例が、JAに農生産物を卸して売ってもらう外注化だ。
JAに限った話ではないが、作るだけでなく、加工して、流通させ、販売してもらうのは卸してしまえば簡単だが、その対価としての外注費はかなり割高だ
800円のランチ、100円の農生産物費、700円のレストラン取り分、うち50%350円の粗利という構成比、構造から考えてもバカにならない。

だからこそ、現実的に自分の所でD.I.Y.できる加工、流通、販売の工程を一つづつ広げていくことが大切だ。
収穫したものの洗浄や乾燥、選別といった加工が最たる例だ。
加工の次は流通だが、D.I.Y.しやすい流通は、運ぶための梱包や、その梱包物の一時保管や配送が最たる例だろう。
販売が一番敷居は高いだろうが、米農家に限らずどんな農家でも実施しているであろう近くの縁者への販売を、もう一歩広げて近くの住民、地域の住民へ直売の範囲を広げていくことが最重要だ。
くりかえしになるが、 「今の農家はもう農作物を作るだけでなく、かつそのための 経営面積の拡大だけでなく作ったものを加工して、流通して、販売までするという、事業規模の拡大も必要だということと、それを自らが積極的に変えてやっていかなければならない 」 ということだ。

つまり「どこまで内製化するか?」の答えは以下の三つだ。
・収穫したものの洗浄や乾燥、選別といった加工
・運ぶための梱包や、その梱包物の一時保管や配送といった流通
・いまやっている直売の範囲の拡大

いま、これを読んでいる農家のみなさんの事業売り上げに占める直売比は何%だろうか?
この直売比を年に1%でも2%でも上げることができれば、必ずや経営の足腰が強化され、30%を超えるころには盤石な体質になっていくこと間違いない
そのためにトヨタ式で農家の1次産業にあたる生産工程を改善し、”作り”に余力を持たせる大部屋化に取り組み、その余力を2次3次産業にあたる流通・加工・販売にまで広げる大部屋化にも取り組みつつ、それを内製化することにより儲けられる農家に積極的に変わっていってほしい

なお実際にはここまで前編から中編、後編と読み進み、具体的に大部屋化や内製化にどう取り組めばいいのかわからないのが実際だろう
その実行の手助けをするのが私の農家専門コンサルタントという仕事であり、引き受ける以上は「必ずや農家さま毎の固有の悩み・問題解決をし、ただのアドバイスだけのコンサルタントとは違う、儲かる農家になるためのコンサルティングを提供させていただきます
↓以下の2つのリンクボタン↓もご参考にしていただければ幸いです。

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