
こと農家、農業法人において人材育成は作物の育成と比べると、天と地ほどの開きがあるほど人材育成には取り組まれていないのが実情ではないでしょうか?
複数人が集まって集団で仕事をする上でのキーは、やはり意思の疎通です。
仕事の情報を共有するしくみといった環境も大切ですが、まずは同じ集団内で同じゴールをみんなで目指すためには「意思の疎通」ができる人間(信頼)関係を構築することが重要であり、ワークショップはそのような人間関係を築くために最も適した人材育成の一環になります。
「うちは4人しかいない農業法人だから人材育成なんて必要ない」「意思疎通はできている」と思われていても、是非お読みいただき、少ない人数だからこそ一人ひとりの能力を最大限発揮するためのワークショップとはどんなものなのか参考にしていただきたいと思います。
個々の能力を向上する為の学科的勉強や作業熟練を促進する技能訓練などは、農作物の生産量を増やすためにももちろん必要です。
一方で農業法人など複数人で効率よく農作物を生産していくためには、チームワークなど集団での仕事の進め方も重要ですが、そのチームワーク醸成に役立つ人材育成の手法としてワークショップが注目されています。
<机上の勉強>
農作物を栽培するための学科的勉強や、経営の為の簿記知識など、農家として食っていくためには様々な勉強が必要ですね。
農業学校での勉強や種苗会社やJAが主催する作付けセミナー、農機具メーカーや農薬肥料会社の研修など、様々な学科的な勉強から基本的な知識を得ることは非常に大切なことです。
<OJT> On the Job Training
机上の勉強が空論にならないように、また作業熟練度を上げるために等、実際の仕事に机上の勉強を結びつけることも重要です。
知識だけの頭でっかちではいけませんし、カンコツだけの当てずっぽうでもいけません。
実際に仕事をしながら先輩の動作を真似る、繰り返して体得する、得た知識と実際の作業をすり合わせるといったことが必要で、合致して始めて実力として蓄えられていくことでしょう。
<ワークショップ>
個人の能力向上が<机上の勉強><OJT>ならば、ワークショップは集団の戦闘力を向上させるものといってよいでしょう。



またワークショップは机上の勉強やセミナーといった、先生や講師が一方的に話すことを聞く形のものではなく、参加者が主体となって体験的に知識や”気づき”を得ていく点が特徴的です。
ただワークショップという言葉で「フラワーアレンジメント教室」や「ハンドメイドワークショップ」なる言葉も広く流通しているので、ビジネスでのワークショップをまとめると以下のようになります。
<会社が仕事のために行うワークショップ>
・社内、社外で行うにかかわらず、参加・体験型講座(セミナー)を意味する
・講座(セミナー)に比べ、参加者が主体的かつ能動的
・受動的に話を聞くだけではない
・参加者個人で考えるだけでなく、参加者同士が話し合って考える場面も多い
・なんらかの体験(ワーク)が組み込まれている
・「個人が気づく・わかる」だけでなく「参加者でわかち合う」経験も重視している
いくつかの農家、農業法人を見てきた私の主観ですが、進んでいるところでは”自学自習の勉強の時間”を設けたり、”社外研修”と称して”セミナー受講”や”他の農家見学”を実施しているところも散見されます。
確かに農作物の品質や収量向上の為や、仕事に必要な特定の知識の習得にはいいことですし、むしろ必要なことです。
しかしいずれも個々の能力を向上するに留まっていることが多そうでした。
農業法人など複数人で効率よく農作物を生産していくためには、集団での仕事の進め方といったしくみも重要ですが、その複数人のチームワークが「ある・ない」も大きく影響することは容易に想像がつくと思います。
そんなチームワーク醸成のための人材育成、ワークショップを一般企業のように取り入れている農家、農業法人はまだまだ稀な存在だと思います。
だからこそ農家、農業法人にも人材育成の一環としてワークショップは必要不可欠だと思います。
ワークショップは参加者が主体的に、合意形成や課題解決などを行う「場」であり、普段の仕事中やOJTでは得られない”気づき”を得ることができます。
なぜなら参加者同士が議論したり共同作業したり、一人ではできない事、みんなでしかできない事などを体験することが多く設定されているからです。
その際にお互いの意見を聞き、同じ目標に向かい行動することにより、まるで作物を育て収穫するような大きな達成感が得らます。
内容はワークショップにより異なりますが、 講師の話を聞くだけで「わかったつもり」になるセミナーと違い、自らあるいはチームとしての行動を通じて学ぶことで、より理解を深めることができる点は特筆ものです。
ただここまでいいことばかりを書いてきましたが、デメリットというか成果に結びつかない事例があるのも事実です。
例えば何らかの気づきを得ても、それを実際の仕事にどれだけ反映させられるかは未知数な点であったり、人によっては気づきを得るまでに至らないこともあるかもしれないという点です。
ただ、ワークショップを重ねることで感受性が活性化されることも間違いありません。他の勉強と同様に続けることも重要かもしれませんね。

ワークショップは参加者主体のものですが、参加者だけでは路頭に迷うのはわかり切ったこと。そこで主催者は講師として、また司会としてそのワークショップを導いていくことになりますが、その役のことを「ファシリテーター」と呼びます。ファシリテーターとは、参加者に発言を促す、話の流れをまとめる、参加者の共通認識を確認する・揃える、ゴールに導くといった役割があります。つまり講師・司会・師匠の融合がファシリテーターなのですが、一緒にゴールに到達するという点では同じ船に乗り組んでいるクルー仲間といった側面もあります。
またワークショップが一般的なセミナーやOJTと大きく違う点がこのファシリテーターのスタンスです。
トヨタ式の人材育成にも通じているところが面白いのですが、端的に言うと「答えを教えない、考えさせる」ということです。
日本の教育もかつての教育のように「答えを暗記させる力」から「答えを導き出す力」にシフトしてきました。
農作物つくりも昨今の環境変化、気象変動、市場の多様化など”一つの正解がない”世の中になりました。もはや教科書の答えは書いてあってもないと同然、書いてあっても陳腐化しており、いま答えは自分たちで導き出す必要がある時代です。どれ(なに)が正解か?ではなく、導き出した答えが正解のお客様がいる市場に対応することが農家に求められているのではないでしょうか?
変化に対応できる力を養うためにも”ワークショップ”取り入れてみませんか?
私こと山謙があなたの農家、農業法人の人材育成をお手伝いいたします。
是非気軽にお声がけください。