
よくある「4つのじんざい」の話を聞いたことがある人は多いでしょう。
人材、人財、人在、人罪ってお話しです。
この話、ものによってはさらにいくつか増やして説明していることもありますが、トヨタ式ではわけてもせいぜい「3つのじんざい」しかありません。
このトヨタ式「3つのじんざい」は人材育成にとても大事な考え方なので、あらためて人材→人在→人財というステップを踏む人材育成のしくみについて考えてみましょう。

一般的に人材育成の場面でよく語られるのが図1の「4つのじんざい」です。
材料の「材」と財宝の「財」は、まだ的を得ていると言えるでしょうが、在庫の「在」と犯罪の「罪」はいったい誰が言い始めたのでしょうか?
例えば赤ちゃんはパソコンを使えるわけがありませんが、果たしてこの4つのじんざいに当てはめるとしたらどれになるのでしょうか?
まさか最初に4つのじんざいにわけた人でも人罪や人財、人在にはしないでしょう。
誰もが最初は赤ちゃんのような素材、何色にも染まっていない真っ白な状態なので「人材」から始まります。その後何らかの影響があって、人材は財にも、在にも、罪にもなりうるのです。
そして好きで在にも、罪にもなったわけではありません。
いったい誰が人材を人在・罪にしたのでしょうか?また誰が決めたのでしょうか?
赤ちゃんが大人になる過程で義務教育など様々な学びや経験の機会があります。
逆に言えば、正しい教育や経験の機会がなければ赤ちゃんは大人にはなれません。
農作物だって放置して良い作物を作れるわけがありません。
従業員だって同じです。放っておいても、たとえ素性がよい人材でも、必ずしも人財になるかどうかはわかりません。
たとえば時々ニュースになる使い込みや横領ですが、ありがちなのは「すぐに返そうと思って売上金をレジから自分の財布へ入れた、それが癖になり返せなくなった」というものがあります。
店長としてはレジを任せるほど信頼していた人財だったのですが、売上げを簡単にごまかせるしくみと、誰しもに可能性のある人間の弱さが重なったりすると、このような悲劇を生みかねません。
似たような例で、在庫の棚卸がいい加減なため、仕入れ商品をフリマアプリなどで売りさばき、期末は損金でチャラにするなど、売上金やおつりを毎日数えて経営者に報告するしくみや、毎月在庫の棚卸をするしくみがあれば、従業員は人罪にならなかったのではないでしょうか?
つまり人罪にしたのは経営者がしくみを造らなかったせいかもしれないことを最初に考えなければいけません。

よくある4つのじんざいに2つを加え、わかりやすくAT車のシフトパターンに当てはめた話もあります。
・P パーキング:動かない状態から「用済み」を現す「人済」
・R リバース:後進する状態から良い方向とは逆の「災厄」をもたらす「人災」
この上記二つを加え、
・Nニュートラル=スタート前なので人材
・Dドライブ=高速前進なので人財
・B(エンジン)ブレーキ=前進を妨げるので人罪
・Lロー=低速前進なので人在
以上AT車6つのシフトパターンに当てはめた話もありますが、完全な言葉遊び、造り言葉です。
トヨタ式では素材状態のNニュートラル「人材」と、単能工として立派に一つを進めることができるLローレンジ「人在」、多能工として自工程のみならずその前後工程などができ二つも三つも進められるDドライブレンジ「人財」の敢えて分けるならこの3つだけです。

あらためてトヨタ式の人材育成では、
・Nニュートラル=スタート前の素材、入社したての新人
→計画的な教育と失敗や成功経験から、人財にも人在にもなる人
・Dドライブ=自律的に問題解決できる人、多能工
→数々の教育や経験、仲間との切磋琢磨、自己研鑽も含め人財となった人
・L ロー=標準作業を標準時間でこなせる人、単能工
→一定の義務教育を経て、一つのことを任せられる人材(在※)となった人
※在は当て字で本来は人在は使わない
性善説にとらえられるでしょうが、トヨタ式では人材は他に人財しかありません。
あえて新人、単能工、多能工の3分類が人材であり人財です。
トヨタ車はアフリカでも中国でも製造されています。
日本でも期間工として中南米の方が製造していることもあります。
日本人であろうが外国人であろうが、最初は誰も赤ちゃん同様トヨタ車を製造することはできません。造れるように教育があったからこそです。
Made in Japan,Made in China,Made in Kenyaなどいろいろな国でトヨタ車は製造されていますが、どれも同じ品質でMade by TOYOTAです。
一般的には「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があります。
些細なことを含め、人はだれしも罪を犯したことのない人はいません。
また何らかの精神病でもない限り、積極的に罪を犯す人もいません。
トヨタ式では「人を責めずにしくみを責める」という言葉が「罪を憎んで人を憎まず」に最も近いでしょう。
できないのは知らないから、できないのは教えていないから、ここから教育というしくみが始まります。
できない人が車を組み立てて、ちょっとブレーキが利かない車を市場に出して、その組み立てができない人のせいにはしませんよね?
できないのを誰かのせいに、従業員のせいにしていませんか?
市場から何を求められているのか?
その要求を満たすには、いま、誰が、何を、できるのか?できないのか?
いつまでに、誰が、何を、できるようになれば良いのか?
改善は理想と(現実と)のギャップを埋めることですが、教育も同様です。
どのような教育が必要で、どのようにしくみ化するかは、まずは現状を確かめて、理想とのギャップを明らかにする必要があります。
また人材育成は、人材→人在→人財というステップを踏む人材育成のしくみが必要です。
あわせて人罪を作らないしくみづくりも非常に大切です。
日々の業務の締めを任せていると言って、丸投げしていませんか?
小口現金やレジのチェックを毎日確かめていますか?
在庫は棚卸で正しく把握していますか?
決算の帳尻合わせに雑損雑益を気軽に使っていませんか?
わたし山謙は農業技術を教えることはできませんが、どのような教育が必要か?どのように教育をしくみ化するか?等に関してはプロであり実績もあります。
人材育成に迷っていたり、会社を会社らしくする、プロの集団にするなどに関してはぜひご相談ください。