トヨタ車は日本はもちろん、世界28ヶ国 /地域に51の海外の製造事業体があり、 また、海外の170ヶ国/地域以上で販売されグローバルに事業展開しています。
このように世界中から支持されている理由は、やはりトヨタ生産方式(以下TPS「Toyota Production System」) による生産と販売により、本当に必要なクルマやカーライフをお客様へ提供できているからでしょう。
TPSは 「リーン生産方式」、「JIT(ジャスト・イン・タイム)方式」ともいわれ、今や世界中で研究されている「製造の仕方」のお手本です。「お客様にご注文いただいたクルマを、より早くお届けするために、最も短い時間で効率的に造る」ことを目的とし、長い年月の改善を積み重ねて確立された生産管理システムです。
しかし今現在ではTPSを含むもっと広範囲な分野まで網羅した考え方≒トヨタ式として、生産部門のためだけでなく、物流や販売、更には接客までの幅広い分野で活用されています。
TPSのルーツは、 トヨタ自動車の創業者(2代目社長)である豊田喜一郎が「ムダの徹底的排除の思想と造り方の合理性」を追い求め、生産全般をその思想で貫きシステム化したもので、その源には喜一郎の父である豊田佐吉が発明した自動織機がありました。
この「徹底したムダの排除」とは、ある時は在庫であり、またある場合は作業そのものであったり、不良品であったり、それぞれの要素が複雑にからみ合い、ムダがムダを生み、やがては企業経営そのものを圧迫するため、どんな小さなムダでも徹底的に取り除くことをさします。
豊田佐吉が発明した自動織機は、それまで人が手作業で行っていたものを自動化したのみならず、その機械に「善し悪しを判断させる装置を内蔵することで自働化」させました。
不良品を造らないだけではなく、それに伴うムダな作業も効率化することで、生産効率と作業効率を飛躍的に高めました。
そして、その意思を引き継いだ豊田喜一郎は、「物を造る場合の理想的な状態は、機械、設備、人などが全くムダなく付加価値を高めるだけの働きをしている」という理想を実現するために、各作業間、ライン間、工程間でのムダを排除する手法や技法を編み出しました。
それが「ジャスト・イン・タイム」です。

TPSの考え方には、図1のように2本の柱があります。
一つは「自働化」という”異常が発生したら機械がただちに停止して、不良品を造らない”という考え方(トヨタではニンベンの付いた「ジドウカ」といいます)と、もう一つ「JIT(ジャスト・イン・タイム)」という”各工程が必要なものだけを、流れるように停滞なく生産する考え方です。
その結果、より少ない人員で「必要なものを必要な時に必要なだけ造ったり運んだり売ったり」することができる「少人化」が実現します。
しかしTPS、トヨタ式を支えている最も大切な要素は「人」です。
「モノづくりは人づくり」の考えのもと、共通の価値観をもって世界各地でトヨタ式を実践できる人材の育成に努めています。
でなければ世界中でトヨタ車が造られ、販売されることはないでしょう。
Made in Japanだからトヨタ車が売れるわけではなく、中国やアフリカで生産されても、世界中でトヨタ車が造れる・売れるのは「Made by Toyota」だからです。
前段の通り、トヨタ車を造って売っているのは、日本人・国に限らず世界中の国々・人々で造られ、販売されています。
では「日本人の食料は誰が作っているのか?」について考えてみましょう。
日本は大昔、江戸時代には鎖国をしていましたので、基本的には現代のように輸入品の食料はほとんどなかったでしょう。
つまり江戸時代は日本人が口にする食料は、すべて日本国内で作られたものと言い換えることができ、これを食料自給率という言葉に置き換えるなら、当時の自給率は100%であったと言えます。
もしトヨタのクルマも同様な考え方で国別に分けてみると、年間約1000万台のトヨタ車が生産・販売されますが、そのうち純日本産(国内工場で組み立てられた)車両数は約300万台なので、トヨタ車の自給(≒国内製造)率は30%くらいなのかもしれません。
さて江戸時代の食料自給率は100%、トヨタ車の自給率は30%ということですが、現在の日本の食料自給率はどうなっているのでしょうか?
あらためて食料自給率とは、国内の食料消費が、国産でどの程度賄えているかを示す指標です。
その示し方については、単純に重量で計算することができる品目別自給率と、食料全体について共通の「ものさし」で単位を揃えることにより計算する総合食料自給率の2種類があります。
そしてさらに、以下の図2(農水省:平成30年度食料自給率について)のように、総合食料自給率は、熱量で換算するカロリーベース(赤)と金額で換算する生産額ベース(青)があり、2つの指標とも長期的に低下傾向で推移していることがわかる。
以下ここから本投稿記事はすべて「カロリーベース」で語らせていただきます。

この図2からもう二つわかることは、黄色線の主食用穀物自給率も低下傾向だが、2000年以降は約60%くらいで横ばいであること。
ちなみに主食用穀物とは 米、小麦、大・裸麦のうち、飼料用を除いたもののことである。
もう一つのわかることは、各グラフのど真ん中に表れている大波のことで、これは「平成の米騒動」と呼ばれている現象です。
この大波、1993年は梅雨前線が長期間日本に停滞し、日照不足と長雨による影響で、日本全国の作況指数は「著しい不良」の水準となる90を大きく下回る74となりました。
作況指数で言えば、北海道74、東北地方平均56、秋田83、山形79、青森28、下北半島では「収穫が皆無」を示す作況指数0の地域も続出したそうです。
当時の米需要を満たす分だけの収穫が得られないばかりか、政府の備蓄米をすべて放出しても国内米需要を満たせず、タイ米やカリフォルニア米が緊急輸入されることになりました。
蛇足だが、このタイ米が当時臭くてまずいとレッテルを貼られたのは残念なことです。
タイ米は世界の米生産量の約80%を占めるインディカ米で、米粒が細長くアミロース含量が高くて粘り気が少く、なにより香りが強いのが特徴なので、 日本料理の主食の白ごはんやおにぎりとしては全く代替にはならないのが当たり前です。 逆に日本料理以外のすべての調理方法に合う米と言っても過言ではなく、なかでもタイ料理や東南アジア 、エスニック、インドなどの料理には欠かせない米でもあるのです。

図3は食卓上の自給率を現しています。
もちろんお米は100%ですが、戦後一人100Kg以上食べてたものが、減反政策を進めたものの現在の消費量は60Kg/人・年を切っているので、実際は100%を上回ってしまうというもっと悪い状態でしょう。
そんな唯一の自給率100%である農産物「米」ですら、天候次第では平成の米騒動のようなことがいつ起きるかわかりません。
それ以外のものに至っては、万が一輸入に支障をきたす事態になったら目も当てられないでしょう。
では日本以外の先進国の食料事情はどのようになっているのでしょうか?
農水省の資料の受け売りですが、図4)カナダ、オーストラリア、フランス、アメリカ等の農産大国の食料自給率は100%を超えている中にあって、我が国の食料自給率は、先進国中最低水準です。

残念ながら同じ島国であるイギリスにも、国土面積が近しいドイツやイタリアにも、どちらの自給率も及びません。
また今後の日本はますますの少子高齢化とともに人口減社会が加速します。
総務省の発表によると、日本の人口は2004年1億2千万人(高齢化率19.6%)をピークに、2050年の予測では9,515万人(同39.6%)となる予想です。
一方で国連が昨年2019年に発表したプレスリリースによると、現在77億人の人口が、インドやアフリカを中心に、世界人口はますます増加し2050年には97億人になると見積もっています。
このように食料をはじめとした農産物も、世界の必要なところへ、必要な時に、より売れる地域へデリバリーされるように、時代はますます変化していくことでしょう。
日本としては自給率を上げるだけでなく、フードロス問題や少子高齢化なども総合的に解決していかなければなりません。
話が大きくなりすぎましたが、では一農家目線ではどのような解決策があるのでしょうか?
一農家が直接的に日本の食料自給率を数%も向上させることは不可能ですが、今現在よりも生産性を向上させる必要がある、というのは自明の理です。
前置きはここまでで、その核心は中編「トヨタ式の改善2つの切り口で、日本の農業は変えられる!”大部屋化”」 で詳しく説明したい。